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東京地方裁判所 平成2年(特わ)1063号 判決 1991年1月11日

本店所在地

東京都中央区銀座三丁目八番一五号

株式会社オー・エム

(右代表者代表取締役 太田輝夫)

本籍

東京都渋谷区神山町一四番

住居

同都同区神山町一四番一八号

会社役員

大川守正

昭和一五年一一月一三日生

右の者らに対する各法人税法違反被告事件について、当裁判所は、次のとおり判決する。

検察官 渡辺咲子 出席

主文

被告人株式会社オー・エムを罰金四〇〇〇万円に、被告人大川守正を懲役一年二月にそれぞれ処する。

被告人大川守正に対しこの裁判の確定した日から三年間その刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告会社株式会社オー・エムは、東京都中央区銀座三丁目八番一五号(平成元年七月二〇日以前は東京都港区赤坂九丁目一番七号、同年四月一七日以前は同都中央区銀座八丁目一四番一四号、昭和六二年九月二八日以前は同都港区赤坂四丁目一番六号)に本店を置き、コンピューター・ソフトウェアーの研究、設計、開発及び販売等を目的とする資本金八〇〇〇万円の株式会社であり、被告人大川守正は、右会社の実質経営者としてその業務全般を統括しているものであるが、被告人大川は、パチンコ店等の経営を目的とする西武観光株式会社の代表取締役である山本こと金在萬と共謀の上、被告会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、被告会社が西武観光株式会社に売却した固定資産である不動産の売却益の一部を除外するなどの方法により所得を秘匿した上、昭和六〇年一二月一日から同六一年一一月三〇日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が四億六〇四七万五七九二円(別紙1の修正損益計算書参照)で、課税土地譲渡利益金額が二億一六二一万一〇〇〇円であったのにかかわらず、確定申告書提出期限の延長処分による申告書提出期限内である同六二年二月二八日、同都港区西麻布三丁目三番五号の所轄麻布税務署において、同税務署長に対し、所得金額が二億一〇四七万五七九二円で、課税土地譲渡利益金額が零であり、これに対する法人税額が八〇四七万四六〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により、被告会社の右事業年度における正規の法人税額二億三一九一万八〇〇円(別紙2の脱税額計算書参照)と右申告額との差額一億五一四三万六二〇〇円を免れたものである。

(証拠の標目)

一  被告人大川守正及び被告会社代表者太田輝夫の当公判廷における各供述

一  被告人大川守正の検察官に対する供述調書六通

一  金在萬(三通)、洪采植、尹珠宅、尹一好、井上清の検察官に対する各供述調書

一  大蔵事務官作成の固定資産売却益調査書、土地等譲渡等に係る譲渡利益金額調査書

一  登記官作成の登記簿謄本四通

一  押収してある法人税確定申告書一袋(平成二年押第九二四号の1)及び申告期間の延長の特例の申請書等一袋

(同号の2)

(法令の摘要)

被告会社の判示所為は、法人税法一六四条一項、一五九条一項に該当するので、情状により同法一五九条二項を適用して、被告会社を罰金四〇〇〇万円に処し、被告人大川の判示所為は、法人税法一五九条一項、刑法六〇条に該当するので、所定刑中懲役刑を選択して、同被告人を懲役一年二月に処し、情状により刑法二五条一項を適用して、この裁判確定の日から三年間その刑の執行を猶予する。

よって、主文のとおり判決する。

(裁判官 松浦繁)

別紙1 修正損益計算書

<省略>

別紙2 脱税額計算書

<省略>

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